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Thunderbirdで受信困難例 中途半端な途中停止 ~今日の課題~

★今日の課題★
Thunderbirdで受信が途中で止まるメールがある。

2023年2月8日追記
根治的対応策の1つをまとめた記事を追記しました。




途中で受信が止まる

 今回の事象は説明が難しいです。

 あるメールアカウントに対して、例えば1,000通のメールが届くとします。
 その内の995通は正常に届きますが、5通に関係してトラブルが発生します。
 確率で言えば0.5%、200通に1通の確率です。

 下図の例で言うと、1000通の受信途中、ある段階までは正常に動作して受信ボックスにメールが貯まっていきます。
 ところが、ある1通のメールで動きが止まり、放置しておくとメール受信が終わった状態になりますが、全件受信はできていません。


 受信が終わったかのように見えて、まだ終わっていないからと『受信』ボタンを押して追加で取得しようとすると、下図のように『アカウント xxx@xxx は処理中です。受信処理が終了するまでしばらくお待ちください。』というメッセージボックスが表示されます。

アカウント xxx@xxx は処理中です。受信処理が終了するまでしばらくお待ちください。

 このあとはどうなるかというと、Thunderbirdを閉じるまで何も変わりません。

 いわゆる強制終了が必要です。




目次

  1. 途中で受信が止まる
  2. 受信できているが、受信記録がない?
  3. 同じメッセージが悪さする
  4. popstate.datにウソの書き込み!?
  5. popstate.datの書込は姑息的回避策
  6. 小さな失敗
  7. メッセージ自体は普通
  8. ウェブメールは正常
  9. POP3も正常
  10. 再現性あるスタックメッセージ
  11. 姑息的作戦も再現性
  12. 受信速度を変えても同じ
  13. タイムアウト設定変更も同じ
  14. Updateしても同じ
  15. 再インストールしても同じ
  16. ここまででわかったこと
  17. 対応策
  18. 半分は解決、そして未解決




受信できているが、受信記録がない?

 前述の状態になってThunderbirdを再起動しても、まったく無意味です。

 受信ボタンを押すと受信処理は開始しますが、同じメッセージで引っ掛かります。
 ある件数までは受信済なので、残っているメールの1通目で停止してしまいます。

 ただし、この再起動した時点で、問題となっているメールは受信ボックスに入っています。
 すなわち、前回の受信処理でThunderbirdの受信ボックスにメッセージは届いていますが、まだ受信完了とはなっていない体裁です。




同じメッセージが悪さする

 そこで、最初からやり直してみました。

 Thunderbirdのファイル類が入っているフォルダから『popstate.dat』を開き、中に記録されているすべてのデータを削除しました。
 ヘッダーにある『POP3 State File』や『This is a generated file! Do not edit.』も気にせず削除します。

 これにより、Thunderbirdがメールサーバと交信する際に、受信済のメールはありませんという信号を送りますので、サーバにある全件の受信を開始します。
 今回のケースでは1,000件用意しているので、1,000件の受信を開始します。

 そうすると、また同じメッセージの所でスタックします。


 『popstate.dat』の在る場所ですが、Thunderbirdのアカウント設定で『サーバ設定』のタブを開くと最下段に『メッセージの保存先』というものがあり、そこに記載されています。
 デフォルトだとCドライブの奥の方にありますが、筆者はDドライブに受信用フォルダを設けていますので下図のような位置にあります。




popstate.datにウソの書き込み!?

 ウソではないのですが、Thunderbirdではなく私が勝手に受信済みだと書き込みました。

 下図の例で言うと、受信ボックスには『X-UIDL』というものが『UID12493』というメッセージがありますが、『popstate.dat』のファイルの最後の受信メッセージは数字が1つ少ない『UID13492』です。

 そこで、『UID13492』の下に1行加えて『UID13493』と書いてみました。

 この『UID』とはユニーク識別子、メールサーバに収められているメッセージ1つずつに個別の記号が付与されます。

 Thunderbirdで受信メッセージのUIDを確認するためには、メニューバーの『表示(V)』から『ヘッダー(H)』を選び、選択肢から『すべて(A)』を選ぶと、メッセージと一緒に表示されます。
 このヘッダー表示を『すべて』にしておくと、メールの返信などでもヘッダーが引用文に表示されてしまうので、普段は『標準(N)』にしてくと良いと思います。




popstate.datの書込は姑息的回避策

 手動で1行足された『popstate.dat』ですが、その状態でThunderbirdを起動して、受信してみると上手くいきました。

 なぜ、その1通がスタックさせるのかわからないのですが、スタックさせる原因のメールを受信済みだと見せかける(実際には受信済)ことで、この問題を回避できました。




小さな失敗

 ここにたどり着くまでに何度も失敗をしたので、受信ボックスには同じメッセージが複数ありました。

 どれもメールサーバ上でのユニークID(UID)は同じなので『popstate.dat』では1行足せば処理されてしまいますが、Thunderbirdローカルの話では複数の同じメッセージが存在することになります。

 ここで1つ確認できることとして、受信ボックスに入ったメールは即座にフィルターで仕分けされて、『Dammy』という別フォルダに移動するように設定していますが、それが実行されずに受信フォルダに残ったままになっているということです。
 すなわち、フィルタ処理の手前でスタックしていることになります。




メッセージ自体は普通

 今回、1,000通のメッセージはすべて発信源が同じ、文面もだいたい同じです。

 自作したソフトから仮想人物として適当な名前で送信しているので返信先はありませんが、送信元も宛先も同じアドレスです。
 すなわち、自分宛てのメールを自分で作成した1,000通です。

 スタックさせるメッセージに特徴はありません。他のメッセージとよく似ています。

 受信したことにしてしまえば、Thunderbirdでの表示にエラーが出るようなことはありません。




ウェブメールは正常

 ブラウザからメッセージを確認できるウェブメールでは、まったく問題なく閲覧できています。

 1,000通のすべてに問題がありません。

 3,000通になっても問題ありません。




POP3も正常

 同じメールを、別のシステムでPOP3受信しましたが、そちらでも1,000通だろうが3,000通だろうが関係なく受信できています。




再現性あるスタックメッセージ

 メールサーバにはメッセージが残った状態で、Thunderbirdの『popstate.dat』を空にして、再びThunderbirdで受信してみました。

 すると、先ほど問題があったメッセージで再び引っ掛かります。

 『popstate.dat』を開いてみて見れば、やはりUIDが記録されていません。




姑息的作戦も再現性

 別なメッセージでも姑息的な対処法は奏功しました。

 先ほどは『UID12493』というメッセージでしたが、下図の例で言うと、受信ボックスには『UID13330』というメッセージがあります。
 そして『popstate.dat』のファイルの最後の受信メッセージは数字が1つ少ない『UID13329』です。

 そこで、『UID13329』の下に1行加えて『UID13330』と書いてみました。

 これで受信すると、上手くいきます。




受信速度を変えても同じ

 Thunderbirdではメッセージを受信する毎に『popstate.dat』にUIDを書き込みます。

 1通ごとに実行される処理に何らかの問題があるのであれば、その問題が書き込み速度と関係しているのであれば、と思ったので通信速度を遅くしてみました。

 光回線の100Mbpsを200kbpsまで500分の1まで落としているので、受信にかかる時間は相当に延長しました。

 ただし、スタックする箇所は同じでした。

 断定できませんが、『popstate.dat』への書き込みエラーではなく、そもそも違う問題が潜んでいると思います。




タイムアウト設定変更も同じ

 Thunderbirdの『ツール』メニューから『設定』を選び、『一般』タブの一番下まで行くと『設定エディター…(C)』があります。

 それを開いて『mailnews.tcptimeout』と入力するとタイムアウトの時間設定ができます。

 これを色々といじってみましたが、特に変化はありませんでした。

 そもそも tcptimeout が何の設定なのか、よくわかっていませんので、標準設定に戻しました。




Updateしても同じ

 このときの最新版は Version 102.2.2 でした。

 Windows7以降の64bit版に適用されるバージョンですので、使用環境には合っています。




再インストールしても同じ

 以前、Thunderbirdのトラブルがあったときは、筆者がWindows10の64bitに、32bit版のThunderbirdをインストールしていたことが原因だったことがあります。

 そのときは入替で解決しました。

 そこで、今回は64bit版をアンインストールして、再び64bit版をインストールしてみました。

 再インストール前に下記のフォルダも削除してみました。

[C:\Users\****\AppData\Roaming\Thunderbird]

 その結果、何も変わりませんでした。




ここまででわかったこと

 事実を並べると、メールサーバには1,000通のメールが存在し、それをウェブメールで閲覧すると1通目から1,000通目まですべて読める。
 さらに、別のシステムでローカルコンピュータにPOP3接続でメールを受信しても、1通目から1,000通目まで滞りなく受信できる。

 Thunderbirdに限って言えば、1,000通に5通くらいの確率で受信中にスタックするメールがある。

 そのメールは受信できていないように見えるが、Thunderbirdを再起動してみると受信ボックスに届いている。

 その届いているメールは普通に読めるものである。壊れていない。

 そのメールのUIDは『popstate.dat』には記録されていないので、Thunderbirdからメールサーバへは未受信として連絡される。

 未受信のまま再度チャレンジすると、またスタックする。

 ところが『popstate.dat』にスタックするメッセージのUIDを書き込んで受信済としてやると、そのあとのメッセージは順調に受信できる。
 ただし、また問題のあるメッセージに当たれば、同じ事が繰り返される。

 この、姑息的手段により1,000通の受信を終えてしまうと、どれがスタックするメッセージなのかわからないように、すべてが普通のメッセージ(メール)として扱える。

 おそらく、受信した旨を『popstate.dat』に書き込む際に何らかの問題が起きている。
 その原因も、解決策もわからない。




対応策 その1:根治的
jsmoduleを止める

 このページにご投稿いただいたhal様の『[mailnews.pop3.jsmodule]→falseにする』が有用な手段の1つのようです。

 私の方でも架空人物3,000人からのメール受信試験を行った結果、全件問題なく受信できることが確認できています。
 この3,000人のメールは、途中にスタックするメールが入っていることが既知なので、改善策として『mailnews.pop3.jsmodule』を無効化する方法が有用な手段であると考えられます。

3000人受信

 まず、Thunderbirdのメニューから『ツール』を選び、そこから『設定』を選びます。
 メニューが表示されていない人は Alt キーを押すと現れます。

 設定画面では『一般』『編集』『プライバシーとセキュリティ』『チャット』という選択肢がありますが、最初から選択されている『一般』のまま作業を進めます。
 一般をスクロールしていくと、最下段に『設定エディター』というボタンが現れるのでクリックします。

設定
設定エディタ

 次に現れた検索窓のようなところに、今回は『jsmodule』と入力します。


 すると3つの候補が現れます。

  • mailnews.imap.jsmodule
  • mailnews.nntp.jsmodule
  • mailnews.pop3.jsmodule

 メールをPOP3で受信している場合は『mailnews.pop3.jsmodule』が悪さをしている可能性があるので、これを『false』に変更します。
 変更方法は両矢印アイコンをクリックするか、この行をダブルクリックします。


 Thunderbirdを再起動して動作を確認します。

2023年2月8日追記




対応策 その2:姑息的
popstate.datを書き換える

 メールを受信して、スタックしてしまった状態にあるとします。

 最後に受信したメールの『X-UIDL』を確認します。この番号はあとで使います。


 ヘッダーが見えずUIDが確認できない場合は、メニューから『表示』を選び、『ヘッダー』を『すべて』に変更します。


 問題のあるメールアカウントを右クリックしてメニューを開き『設定』を選択します。
 あるいは、Thunderbirdのメニューから『ツール』を選び、そこから『設定』を選び、左下にある『アカウント設定』を選びます。


 『サーバ設定』にある『メッセージの保存先』を確認し、エクスプローラーで開きます。ここにある参照ボタンは使いません。Thunderbirdとは別途、開きます。


 フォルダを開くと『popstate.dat』があります。

 これを『メモ帳』などで開きます。


 ずらりと並んだUIDの中で、一番数字が大きいものを見ます。たぶん最下段にあると思います。
 最初に確認したUIDの数字と比べて一致しない、最後に受信したはずのメールのUIDが記録されていないという場合は、そのUIDに問題があります。

 とりあえず受信はできているので、重複しないように、最後に受信したメールのUIDを手入力してしまいます。

 下図の例では1行足して『UID12493』を手入力で作ってしまいます。


 これで再度、Thunderbirdを起動して受信すると、さきほどスタックした位置では止まらなくなります。

 ただし、他の所でもスタックする可能性があります。

 私の実験では3,000通の架空人物からのメールを受信してみましたが、5~6回はスタックしました。
 その都度、UIDを書き換えましたが、非常に煩わしいです。

2023年2月8日追記




半分は解決、そして未解決

 今回は姑息的手段により、とりあえずメールを受信するということについては解決しました。

 しかしながら、根本的解決には至っていないので、いつでも再発します。実際に、再発しています。

 解決策が見つかったら、またご案内いたします。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

解決
継続

「Thunderbirdで受信困難例 中途半端な途中停止 ~今日の課題~」への16件の返信

初めまして、同様の現象が今月から始まり困っていました。今日初めてググってみたらこのサイトにたどり着きました。Thunderbirdはもう10年以上使っていますが初めてのことです。1時間ほど経過すると自然に治ってしまうこともありますが、確実なのはWindowsの再起動でした。今のところこれが確実で一番早い回復です。

 貴重な情報ありがとうございます。
 当方は再起動も再インストールも有効でない感じでしたので、この現象にはいくつかの異なる要因があるのかもしれないと思いました。
 いずれにしても受信の工程の1つに問題が起きて、スタックするということには変わらないと思いますので、また現象が起きたら謎解きしてみたいと思いました。

初めまして。
102.0へのアップデートにおいて「新しい Javascript による NNTP 実装を既定で有効化。」が行われているようです。
弊社でもThunderbirdを使用しており、メールスタック現象がかなり増えておりました。
解決策としては、設定エディタにて、[mailnews.pop3.jsmodule]→falseにする。とすると以前のPOP3の処理に戻すことができます。
根本的なバグの回避にはなっていませんが、現状このようにするしかなさそうです。
ちなみにベータ版では修正されているとの噂です。

 貴重な情報をありがとうございます。
 海外のサイトで『Setting mailnews.pop3.jsmodule to false solved the problem.』という記述を見かけましたが、日本語版でも修正できるのか懐疑的で、試していませんでした。試してみたいと思います。

同様の事象が私も発生しましたが、こちらの書き込みを拝見させて頂いたおかげで無事受信するようになりました。
取り急ぎお礼申し上げます。

 まだ事象が発生しているようですが、改修できたようで良かったです。お役に立てたようであれば、記事を書いた甲斐があります。わざわざ御礼のメッセージをありがとうございました。

2023年1月末に突然、Thunderbirdメール受信ができなくなりました。
お知らせいただいたとおりに、”[mailnews.pop3.jsmodule]→falseにする”で正常にメール受信ができるようになりました。
ありがとうございました!

 コメントありがとうございます。Thunderbirdのバージョンはわかりませんが2023年もお困りの方が居られるということは、Thunderbirdの問題だけではなく、使用環境に依存する『何か』があるのかなと思いました。
 [mailnews.pop3.jsmodule]で改善できるようになったということで、貴重な情報ありがとうございました。

すみません、同じトラブルに陥っているのですが、解決方法の詳しい操作手順(初心者用)をお教えいただけませんか

 私も詳しい方ではないのですが、今のところ解決策となっている方法を記事にまとめて追記しておきました。このページの後半、コメント欄より上にあります。
 解決できたか、ぜひお聞かせください。

jsmodule をfalse にして、止まっていた受信は動き出しましたが、今度は受信を押しても、受信しかけたと思ったらすぐに停止して終了してしまうようになりました。jsmduleを元に戻しても治りません。これはどうすればいいでしょうか

 一歩進んで、また後退ということで、お困りですね。
 私はICTの専門家ではないので詳しいリカバリはわかりませんが、姑息的なことから。
 メール閲覧については、ウェブメール機能があればブラウザから見る事ができるので、まずはそちらをお試し頂ければと思います。もし、受信を停止させているメールが、削除しても構わないようであれば、ウェブメール上で削除して、再びThunderbirdで試してはいかがでしょうか。当初、私はこのようにしていました。
 その後、popstate.datを書き換える技を考えました。

 Thunderbirdでは下記の記事を提供しています。
https://support.mozilla.org/en-US/kb/cannot-receive-messages
https://support.mozilla.org/en-US/questions/1290941

 今回の事象とは直結しませんが、私はWindows10の64bitを使っているにも関わらず、Thunderbirdが32bitであったために不具合を起こすという経験をしました。バージョンの確認も重要だと思います。

 根本的に、貴殿に起きていることのリカバリ策ではなく申し訳ありません。

アカウント設定のサーバー設定のセキュリティ設定の接続の保護を「なし」にすると受信できるようになりました。
いろいろとありがとうございました。

 結果の情報提供をありがとうございます。
 セキュリティソフトとの相性でしょうか、また違った不具合や不都合が出ない事を願っています。

こんにちは。
同じ現象で悩んでいました。
自分の場合、2つアカウントを使っているうちの1アカウントがスタックして困っていました。

ネットで出ている対処法は効果がなく、popstate.datの中は、受信フォルダに何度も受信してしまうメールはあれど、UDI等の書き込みはされておらず、お手上げでした。

試したのは、サーバー設定のヘッダーのみ受信するをチェックし、受信するとメールタイトルのみすべて受信出来ました。
その後、メールを開くと、中に本文をダウンロードする、というリンクが出てきたので、それをダウンロードして中身を確認。
再び受信したところ、新着メールはありません、ということでスタックは解消したようです。
件数が多いときついですが…。

AmpiTaさんの方法を試す前に何とかなってしまったのですが、何かのお役に立てば、と思い投稿させていただきました。

 OLDA様、貴重な情報をありがとうございます。
 『なるほど』と思いました。スタックする原因が本文中の何らかのキーになる文字列などであれば、それをThunderbirdに読ませなければスタックせずに一旦は受信処理を完了、という流れに持っていけるので、姑息的回避策としてはありだと思いました。
 ご指摘のとおり件数が多いと困りそうですが、手っ取り早く対処するという方法として有用だと思います。

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