カテゴリー
ICT・AI・robo

LAN配線のDIY工事 – 今日の課題 –

★今日の課題★
自宅のLAN配線をアップグレードする

 テレワークや巣ごもりが日常化し宅内LANの使用頻度が高まりました。
 2019年であれば月に1~2回しかなかったビデオ会議も今や毎日のようにあり、参加して当たり前、通信の途絶は許容しがたいものになりました。

 一方で、宅内では家族全員がリモート授業やリモートワークとなり、Wi-Fiに同時につながる機器が増え通信は混雑しています。

 そこで、テレワークする上で重要なパソコン等には有線LANを接続し確実性を高め、仕事中に目に入りやすい箇所の露出配線は隠蔽化することにしました。


実線露出から壁埋込配線器具へ変更
 ├ リビング入口に露出
 ├ 壁埋込
 ├ 配線をバラす
 ├ 配線順番はB
 ├ 電線両端でチェック
 ├ 仕上げはプレート
 └ 私的に試算

母屋から離れへ有線LAN
 ├ いままでは無線LAN
 ├ 同一敷地内なので1回線
 ├ 通信が不安定な日がある
 ├ 有線化工事
 ├ 通線と端末処理
 ├ 中継器をアクセスポイントに
 ├ 通信の安定性を手に入れた
 └ 私的に試算

LAN端末処理
 ├ 被覆を剥く
 ├ 色の順に並べる
 ├ 1本ずつに分けて整える
 ├ 隙間なく並べる
 ├ 一直線にそろえてカット
 ├ コネクタを差し込む
 └ ケーブルチェッカー

道具・材料
 ├ RJ-45埋込配線器具
 ├ 1個用プレート
 ├ LANケーブルチェッカー
 ├ LANコネクタ
 ├ LANコネクタかしめ工具
 ├ ウォルボックス
 ├ PF管
 ├ PF管用コネクタ(ボックスコネクタ)
 ├ PF管用サドル
 └ 通線ワイヤ(スリムライン)


リビング入口に露出

 現在のLAN配線、リビングの照明スイッチの下に配線があり、通線孔からLANケーブルが出ていて、先端(末端)がLANコネクタになっています。

 普段、使わないので線が邪魔になるため、養生テープで飛び出してこないように抑えています。

 このテープを剥がせば、1m以上も配線が飛び出してきます。

配線が飛び出ないように養生テープで仮止め
リビングの照明スイッチの下で人の往来が多い場所。落書きはご愛嬌。

壁埋込

 配線は既にあり、壁からのアウトレット部分も1コ用ボックスサイズで開いています。

 したがって、ここに配線器具を取り付けるだけで壁埋込は完了させられます。

サンワサプライ JIS対応RJ-45モジュール LA-FP-MJ3K
 LAN配線の『メス』です。壁埋込に準拠しています。普通のコンセントやテレビなどの埋込配線器具と同じ規格のカバープレートなどが使えます。


配線をバラす

既設の配線器具を取り外す
電線の被覆を剥いてより分ける

色の順番はB

 LAN配線にはA配線とB配線があります。
 一般的によく使われているのはB配線です。
 ここでもB配線の方に色を合わせて、電線を取り付けていきます。


電線両端でチェック

 壁に納める前に黄色い線を差し込んでいるのは、配線のチェックをするためです。

 チェッカーを使うのが理想的ですが、もしお持ちでない場合はパソコンなどを接続して、インターネットに接続できる事を確認します。

サンワサプライ LANケーブルテスター LAN-TST3Z
LANケーブルの通線状態をチェックするデバイスです。昔は数万円しましたが、今は1千円で買えます。


仕上げはプレート

 ケーブル接続に問題がなければ、仕上げます。

 表面上は1個用プレートで仕上げたしまえば、最初からそうなっていたように見えます。

 これで壁はスッキリしました。

 あとは落書きを消します。

サンワサプライ 1個用プレート LA-FP-J1K
壁埋込の1個用プレートです。真ん中にLANを1つ設置という場合に使います。2つなら2個用プレートを使います。

私的に試算

 今回の作業を業者委託した場合、いくらぐらいかかるのか、私的に試算してみました。

 作業内容としては電話でも伝えられる程度ですので事前の現場調査は不要、材料も電気屋さんなら想像がつく範囲だと思います。

 工事は1時間以内ですが、このためだけに出張してきますので、その時間の拘束費用もかかりますので3時間程度、およそ半日がつぶれてしまいます。そう考えると、近所の電気屋さんに『帰りにでも寄って下さい』と言えると、安くなりそうです。
 材料費は技術料に含まれるとして、一式で5千円程度でしょうか。

 職人1人が半日で1.5万円、技術料が0.5万円、合わせて2万円くらいの工事をDIYで済ませたと考えて、自己満足しておきます。




母屋から離れへ有線LAN

今までは無線LAN

 母屋から離れまで、これまでは無線LANを使い、離れ側に設置した無線LANルーター機は中継器として設定し、使用していました。

 母屋側にはBuffaloのWXR-2533DHP2、離れにはWSR-2533DHPを設置しました。
 離れに中継するためにWXR-2533DHP2を購入し、それまで母屋で使っていたWSR-2533DHPを離れに中継器として設置していました。
 規格値では両機とも11ac(5GHz)で1,733Mbpsという事で、それなりの通信速度を維持していました。


同一敷地内なので1回線

 NTTの適合検査資料によれば『お客さま側の設備が、同一敷地内で閉じているもの』が端末設備であるとされています。

 NTTとの責任分界点は保安器にあり、電柱ではありません。保安器以降であれば利用者(NTTから見てお客さま側)であり、保安器より電柱側は通信事業者(NTT)の責任下にあります。

[Link] NTT西日本: 2.1.電気通信設備の構成, 第2章 端末設備について, 適合検査とは

[Link] NTT東日本: 電気通信設備の構成, 適合検査とそれに関わるNTT東日本の取組


通信が不安定な日がある

 2020年は平均して週1回以上はビデオ会議がありました。
 その中で1回だけ、会議中に通信が途切れてしまうトラブルがありました。
 その原因は無線LANの電波が障害されたものでした。

 2021年4月、Zoom面談中にインターネット回線が遅い旨の表示が出てしまいました。
 会議前から通信が遅いなと感じていたので、Zoom会議に使うパソコン以外のものは通信をオフにしておきましたが、トラフィックの問題ではなく、そもそもの電波の問題でした。


有線化工事

 母屋から離れへ有線LANを接続するためには、電線を渡す必要があります。
 配線方法には以下の候補があります。

  1. 架空線(高い位置で建物間の空中に電線を張る)
  2. 地中線(地面に配管を埋め込んで電線を渡す)
  3. 露出(地面に電線を転がすなど延長コードのように敷設)

 母屋⇔離れ間、よく農家さんの納屋などに電源を渡す際には施工していました。建物の側壁にフックを取り付けて、ワイヤーを渡して電線を取り付けていく方法です。

 今回は架空線を敷設するのが難しい建物であり、見た目も良くないので地中配管を選択しました。

 建物の側壁にジャンクションボックスやウォルボックスなどを設置して配管を接続、配管は地中を通り建物間を結びます。

[Link] 未来工業: 地中埋設管と施工方法と注意点

未来工業 ウオルボックス 屋根一体型 WB-10DM
電気屋さん御用達のスタンダードな部材です。施工性が良く、必要なところにパンチ穴があったり、ビス穴があったりします。
未来工業 ミラフレキPFD 16mm×50m MF-16
施工性の良いPF管です。LANケーブル3本くらいであれば16mmで通ります。屈曲する部分が多い場合は22mmの方が良いと思います。
未来工業 コネクタPF管16用 ベージュ MFSK-16GS
PF管の末端処理用のコネクタです。ホームセンターで買うなら1個単位でも良いですが、ネットで買うなら10個単位がお勧めです。
未来工業 PF管片サドル KTF-16J
PF管を壁などに固定するためのサドルです。完全に地中埋設で終わってしまう場合には不要です。


通線と端末処理

 配管が終われば、次は通線します。

 配管の片端から通線ワイヤーを突っ込み、他端まで出します。
 出てきたワイヤー先端にLANケーブルを結び、ワイヤーを引き戻して通線します。

 配線が通ったら端末処理をします。
 今回は無線でつながっていたWXR-2533DHP2(母屋)、WSR-2533DHP(離れ)の双方にLANケーブルを接続して工事は完了しました。

デンサン ブラックスリムライン 30m BX-4030J
ワイヤーを編んで作った強くてしなやかな通線用のワイヤです。どこの電気屋さんも使っている器具ですので、持っていて間違いはないと思います。普通の針金では切れてしまうような力でも、このスリムラインを使えば強靭に対応できます。

中継器をアクセスポイントに

 無線電波を中継する中継器として使っていた装置を、LANケーブルで接続してしまうと不具合が生じます。
 そこで、中継器から中継機能を停止させ、アクセスポイントへ変更する操作が必要です。
 中継器にしたときには下図の作業を行ったので、これをもとに戻せば良いです。この機種では『WB』を『AP』にするとアクセスポイントになります。

 この操作で、あとは従前のとおり母屋、離れともにネットが使える環境のままでした。


通信の安定性を手に入れた

 今回の作業の成果は安定性です。

 無線では外的要因による不安定さがありましたが、有線ではほぼそうした事がありません。

 しかも今回は途中で線をつなぐことなく、端から端まで1本で通す事ができたので、接触不良などのリスクも最小化できていると思います。


私的に試算

 今回の作業を業者委託した場合、いくらぐらいかかるのか、私的に試算してみました。

 現場調査が必要なレベルですので、もしかすると事前訪問して見積、あるいは余分に材料や工具を持参しての作業になると思います。
 余分に用意する分は道具の維持費、材料の在庫費などがかかるので、相応に費用が増すと考えられます。

 仕上がりの感じを施主側が上手に伝えられれば『この程度で良いのか』『これは上等な工事が必要だ』などがわかるので、見積もる側もズバリとした数字を出せると思います。

 今回、もし工事が遠く離れた実家で、どうしても電話やメールで業者さんに伝えなければならないとすれば

  • 配線は地中埋設で、なるべく配管は見えて欲しくないが、見えてしまっても構わない
  • 母屋の宅内は配線は隠蔽、離れは物置みたいな所なので露出でも気にならない
  • LANケーブルは特別な物は要らない
  • HUBやROUTERなどは不要

といった内容でお願いすると思います。

 工事は2人で4時間程度の内容でした。
 段取りの良いプロ、穴掘りでバテないプロなら2人で3時間以内だと思います。

 おおよそですが地中埋設配管が10m、ジャンクションボックス1か所、ウォルボックス1か所、LANケーブルは30m、LAN端末処理2か所が工事内容です。

 地中埋設工事が掘削と埋め戻しが1式2万円、地中配管が300円/mだとして10mで3千円、末端はジャンクションボックス側が2千円、ウォルボックス側が3千円程度でしょうか。

 LAN配線は材料費が200円/mだとして30mで6千円、端末処理を含めた工事費が5千円程度でしょうか。

 ここに出張費用や技術料、雑材料費、諸経費として1~2万円が加算されると思います。
 先述の合計3.9万円に1~2万円を足すと5~6万円です。

 2人が半日がかり、材料は原価でも1万円くらいかかりそうですので4万円貰っても赤字かもしれません。自動車も工具も調達や維持に費用がかかりますので、恐らく見積額は6万円以上になるかなと、勝手に思っています。

 6万円の工事をDIYで済ませた、不慣れな穴掘りで筋肉痛はありましたが、十分な自己満足ができる額でした。




LAN端末処理

 ここではコネクタ側の端末処理についても確認しておきます。

被覆を剥く

 LANケーブルの一番外側の硬い被覆を剥きます。

 適当な位置に、カッターを直角に当ててぐるりと一周回し、表面に傷を付けます。
 芯線の被覆は傷つけないように気を付けます。

 傷を入れた位置で被覆を取り除きます。


色の順に並べる

 芯線は色の順で並べます。

 一般的にはB配線を使います。橙、青、緑、茶のツイストに分けます。


1本ずつに分けて整える

 ツイストペアのよりをほどきながら、1本ずつまっすぐになるように整線します。


隙間なく並べる

 8本の線が隙間なく並ぶように指で保持します。


一直線にそろえてカット

 芯線の先端はコネクタに差し込んで、並んだ状態で保持されます。

 芯線の先端は横並び一直線、きれいに揃うように切ります。


コネクタを差し込む

 芯線の先端に、色の順番がズレないように慎重にコネクタを差し込みます。

 奥に当たる感じ、目視でも奥まで行った事を確認します。

 専用工具でかしめてコネクタを固定します。


ケーブルチェッカー

 最後はケーブルチェッカーで確認して終わりです。

RJ45コネクタ
LANの端末のコネクタです。ボリュームディスカウントが大きいので何か所も作業しそうであれば100個入りを買ってしまえば失敗を恐れずに作業できます。
サンワサプライ RJ-45用 かしめ工具 LAN-TL6
LAN端子(コネクタ)をかしめる工具です。これ1つですべてできるので、LAN自作には不可欠なツールです。どこのブランドが良いとかは無いので、手に入る物を使えば良いと思います。




器具・道具・材料

RJ-45埋込配線器具

サンワサプライ JIS対応RJ-45モジュール LA-FP-MJ3K
 LAN配線の『メス』です。壁埋込に準拠しています。普通のコンセントやテレビなどの埋込配線器具と同じ規格のカバープレートなどが使えます。

1個用プレート

サンワサプライ 1個用プレート LA-FP-J1K
壁埋込の1個用プレートです。真ん中にLANを1つ設置という場合に使います。2つなら2個用プレートを使います。

LANケーブルチェッカー

サンワサプライ LANケーブルテスター LAN-TST3Z
LANケーブルの通線状態をチェックするデバイスです。昔は数万円しましたが、今は1千円で買えます。

LANコネクタ

RJ45コネクタ
LANの端末のコネクタです。ボリュームディスカウントが大きいので何か所も作業しそうであれば100個入りを買ってしまえば失敗を恐れずに作業できます。

LANコネクタかしめ工具

サンワサプライ RJ-45用 かしめ工具 LAN-TL6
LAN端子(コネクタ)をかしめる工具です。これ1つですべてできるので、LAN自作には不可欠なツールです。どこのブランドが良いとかは無いので、手に入る物を使えば良いと思います。

ウォルボックス

未来工業 ウオルボックス 屋根一体型 WB-10DM
電気屋さん御用達のスタンダードな部材です。施工性が良く、必要なところにパンチ穴があったり、ビス穴があったりします。

PF管

未来工業 ミラフレキPFD 16mm×50m MF-16
施工性の良いPF管です。LANケーブル3本くらいであれば16mmで通ります。屈曲する部分が多い場合は22mmの方が良いと思います。

PF管コネクタ(ボックスコネクタ)

未来工業 ミラフレキPFD 16mm×50m MF-16
施工性の良いPF管です。LANケーブル3本くらいであれば16mmで通ります。屈曲する部分が多い場合は22mmの方が良いと思います。

PF管用サドル

未来工業 PF管片サドル KTF-16J
PF管を壁などに固定するためのサドルです。完全に地中埋設で終わってしまう場合には不要です。

通線ワイヤ(スリムライン)

デンサン ブラックスリムライン 30m BX-4030J
ワイヤーを編んで作った強くてしなやかな通線用のワイヤです。どこの電気屋さんも使っている器具ですので、持っていて間違いはないと思います。普通の針金では切れてしまうような力でも、このスリムラインを使えば強靭に対応できます。




 今回は、ずっと邪魔だな、見た目も悪いなと思っていたLAN配線をすっきりさせました。
 道具の費用は多少かかりますが、材料費はさほどかかりませんので、もっと早くやればよかったなと思いました。

 そして、通信エラーを回避するための予防策として無線を有線化する工事も行いました。
 DIYにしては少々本格的ですが、作業として難しい事は少なく、穴掘りが大変だったというのが感想です。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です