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BCP・災害対策

『自助を考える:乳幼児と避難する?』 -今日の課題-

★今日の課題★
乳幼児を連れた避難と自助・共助について考える




乳幼児


乳児

 乳児とは、母乳や粉ミルクなどで栄養を摂る時期の、1歳未満くらいの子どもを指します。

 当然ながら、親が居ないと育たない、生きる事すら難しい年頃です。

 日本では年間出生数が90万人近く、乳幼児死亡率の低い日本ではすなわち、常に乳児が90万人近くは居るという事になります。

 母子と数えると倍の180万人近く、人口の1.5%程になります。



幼児

 乳児期を過ぎると幼児期に入りますが、概ね小学校就学前までの子どもを幼児と呼びます。

 成長が著しい年頃であり、歯が生え始めたり、言葉を覚え始めたり、運動ができるようになったりします。

 ある程度の意思表示ができますが、一方で自制はまだできない児も少なくありません。

 400万人の群になりますので、人口の3~4%を占めることになります。




避難所のリスク


感染対策

 乳幼児はまだまだ免疫が確立されていない部分があり、計画的な予防接種の真っ最中です。

 床に落ちた物を口に入れますし、どこを触ったかわからないてを舐めてしまうこともあります。

 親が四六時中監視していれば防ぎ得る感染もありますが、不可避なものもあります。

 新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスから身を守る手段としてマスク着用が推奨されていますが、乳幼児でマスクをし続けられる児はそう多くありません。



子どもらしい迷惑

 子どもは走り、叫び、歌い、遊びまわることが仕事であり身体や精神の成長に役立っています。

 避難所であるからと言って、じっとしていられる訳もありません。

 平時でも、葬式の最中に歩き回ったり、声を出したりしてしまう子どもは居ますし、電車の中など興奮して喋りが止まらない子どもも居ます。

 子どもなので仕方ないと思いますが、これが思わぬトラブルを招くこともあります。

 避難所にキッズルームや赤ちゃんルームがあればそちらに待機できますが、そこまで配慮された場所はなかなかありません。



子どもの食べもの

 避難所へ行ってから気づくことになるのですが、子供向けの食事が意外と少ないことです。

 オニギリが梅干しか塩辛い鮭しかない、カレーが甘口でも辛いタイプ、飲み物がカフェイン入りのお茶ばかり、ということは普通にあります。

 さらに離乳食となると厳しい現実があります。
 非常用にレトルトの離乳食は用意されますが、月齢が合わないということがあります。
 12カ月用の離乳食が8カ月の子どもに合うかと言われれば難しいと思います。

 お菓子についても期待薄です。
 救援物資にお菓子が入ってきますが、チョコや煎餅など大人なら喜びそうな物が多く、小中学生向けの駄菓子も少ないですし、乳幼児向けのものとなると更にレアになります。

 私もグリコのチョコは好んで食べますが、ビスコもカバンに常備するほどよく食べます。
 ビスコは比較的低年齢でも口にできるので、『発効バター仕立て』のビスコはいつでも1箱、カバンにあります。

 ビジネスバッグにお菓子を常備する大人、どれだけ居るかなと思っていたら、都内の有名医学部の災害テロ対策の医師も同じようなものを携帯しておられました。奇遇です。

ビジネスバッグに常備している菓子類



授乳

 粉ミルクの場合、一度沸騰させたお湯で作りたいですが、そうも言ってられないかもしれません。

 仕方なしにミネラルウォーターで水から作るにして、赤ちゃんが飲めるくらいまで温める手段が必要です。

 粉ミルクは、災害のたびに問題になり、最近では液体ミルクも認可されるようになったので少しは解消されています。

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母乳にも課題

 母親の身体から出るので設備は要らない母乳。

 とはいえ、公衆の面前で上半身を露わにすることはしづらいですし、真冬の避難所や校庭は寒いです。

 最近の避難所には授乳室が設けられるようになっているので、おそらく指定避難所に行けばスペースはあると思います。

 ただし、それで解消という事でもありません。

 3時間に1回、15~30分の授乳があります。授乳室のスペースは何人も入れるような場所でもありません。
 マンションが林立するような地域では、同世代が多く、授乳期の児がたくさん避難してくる可能性があります。
 そうなると、授乳室が満室状態、赤ちゃんは順番待ちはしてくれないので、授乳室外で授乳しなければなりません。

 どのような状況でも、安全に、適切に授乳できる様に自前の防御策が必要です。




乳幼児と避難、する


移動

 避難する際、最初に考えなければならないのが、避難所までどうやって移動するかです。

 移動できないと判断すれば、自宅に残るしかありませんので、準備する必要もありません。

 冠水している道路があるかもしれない、余震が来るかもしれない、瓦礫の塵埃で呼吸困難になるかもしれない、色々なリスクを想定し、我が子が耐えられるのかを検討します。

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持参品

 発災当日は救援物資は届かないと思った方が良いので、自治体の備蓄から配給される分が入手可能な物になります。

 それは毛布、水、非常食といった物で、非常食は子供向けの物はないかもしれません。

 1~2日分の子どもの食べられる物、おやつ、絵本などの気を紛らわすものなどが要ります。携帯ゲーム機は充電ができませんし、悪意の無い他の子どもに取られてしまうかもしれないので、慎重に検討します。

 雨が降っているのでれば到着後すぐに着替える衣服、バスタオルなどを持っておくと良いです。

 コンセントを使わせてもらえる可能性があるので、スマホ充電器も持参します。できれば、名前を書くとか、リボンで印をするとか工夫をした方が良いです。

 家を留守にするので現金、通帳、母子手帳なども持っていきます。



寝床の確保

 子どもの寝床の確保は、行ってからスペースを確保するだけでなく、どこでも寝られるように寝袋などを持参できると良いです。

 私の手元には非常時のためにアマゾンで買った寝袋がありますが、非常時はこれで十分かなと思います。

 キャンプをなさる方は、1万円超の寝袋が良いかもしれません。

我が家の備蓄寝袋
コールマンの寝袋です。寝袋を選ぶ時のポイントとしては、マイナス何度まで対応しているかという点です。停電時、マイナス5℃を下回る地域では極寒仕様が良いです。




乳幼児と避難、しない


籠城と兵糧

 籠城戦に入ると決めたら、まずは兵糧攻めに遭わないようにします。

 食糧はおかずの残り、乾麺や缶詰などでできる献立などを考えます。

 大人は1日1食に制限しろと言われれば『我慢』ができますが、子どもには1日3食、しっかり与えるように努めます。



配給品

 被災地へ届けられる配給品は、各戸をまわることはありません。

 どこかの拠点へ行く必要があります。

 指定避難所には確実に物資が届くと考えて良いと思いますが、その物資は避難所で消費されます。

 弁当の配給があっても自宅避難者にはその情報すら入ってきませんので、おそらく入手困難だと思います。

 給水車は公園などにも来るので、運よくアナウンスが聞こえたら取りに行くと良いのですが、どうやって運ぶかが課題です。



乳幼児+20リットル

 給水車に水を貰いに行く際、持参するボトルはどうしますか。

 例えば灯油缶のようなボトルですと20リットルくらい入ります。20kgになります。自転車の荷台に載せたり台車を使えば運べなくはない重さです。

 ここに乳幼児が加わるとどうでしょうか。

 ベビーカーを押しながら20kgの荷物は持てるでしょうか。

 私は、キャンプ用ワゴンを用意しています。車輪が大きいので多少の段差は乗り越えられますし、乳幼児を乗せて走行できます。

アウトドアワゴンに乗る幼児
耐荷重100kgの頑丈なワゴンです。約1m×0.5mの積載力があるので、水も食糧も運搬できます。




乳幼児を見かけた


避難所で

 避難所に乳幼児が来ると、目立ちます。特に高齢化の進む地域では少子化も進んでいるので、目立ちます。

 その少数派である乳幼児が来た時、どのような迎え方をするかで避難所の雰囲気は大きく変わります。

 子どもが好きか嫌いかではなく、歓迎ムードをつくると、集団心理で同調する方向に動く人が増えます。
 逆に、最初に文句を言う人が目立つとネット上の『炎上』と同じく集中砲火に遭う可能性が出てきます。

 中高年のオジサンが乳幼児を連れたママに優しくしていると、それはそれで変な目で見られるので、何か特別な行動を起こすということには抵抗があるかもしれません。

 乳幼児に対して何もしてあげられなくても良いので、非難の対象にならないように、雰囲気づくりが必要です。

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個人宅で

 避難所と違って気づきづらいのですが、赤ちゃんの泣き声などで気づくことになると思います。

 自宅避難している人に対しては、基本的には災害支援は行き届きません。全国から寄せられる救援物資、行政が手配する弁当、すべて避難所で消費されると思っておいても良いかもしれません。

 せっかく『自助』をして自宅避難している家庭に、物資が行き届かないのは不公平感がありますが、現状では仕方ないです。

 自宅避難を選ぶ人は、乳幼児を外出させたくない、留守番もさせられない、という家庭である可能性があります。

 近所としてできるとすれば、家庭に介入するのではなく、給水車まで水を取りに行くときに『ついでに』何リットルか余分の貰ってきてあげる、配給食などがあれば避難所まで取りに行ってあげるなど、外回りで出来ることをすると良いのではないかと思います。

 近所関係が希薄な現代ですが、災害時くらいは近所での共助や互助があっても良いと思います。




 今日は、講演等でお話しさせて頂いている内容と、わが家族や友人の身に降りかかったときにどうするか、ということを同時に考えて書きました。

 原則はGOAです。GOAとはgoal-oriented action、目標志向の活動で、最終的に目標さえ達成できれば良いという考えです。

 空腹を満たせればよい、体温を維持できればよい、乳幼児向けのゴールは比較的単純です。
 多少の財産を失っても、子どもの生命や健康には代えがたいので、GOA的な志向で守ります。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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