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BCP・災害対策

『死亡数が倍増する恐怖』 -今日の課題-

★今日の課題★
死亡数が平年の倍になる感染症流行の恐怖を考える




ニューヨーク州

倍々スタート

  ニューヨーク州で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者が最初に確認されたのは2020年3月1日です。

 この日の陽性患者数は1人です。

 ところが3月4日には11人、5日には22人、6日には44人、7日には89人となりました。

 倍々と増えて行きました。
 3月7日にはクオモ知事が緊急事態宣言の発表をしました。

【参考】New York State: Governor Cuomo Pressroom, 2020年3月7日



最初の死者は3月13日

 呼吸器疾患(肺気腫)を患っている82歳女性がCOVID-19に感染し、その後死亡したと発表がありました。

 65歳男性の死亡も報告されました。この方も基礎疾患を持っているとのことでした。

【参考】New York State: Governor Cuomo Pressroom, 2020年3月14日



4月13日までに10,834人

 ニューヨーク州知事の会見で明らかになりましが、4月13日の1日だけでも778人もの人が亡くなりました。

 ニューヨーク州ではこれまでに10,834人がCOVID-19関連死として確認されています。

 わずか一カ月で1万人以上がお亡くなりになっています。

【参考】New York State: Governor Cuomo Pressroom, 2020年4月14日




平時の倍

平均13,735人

 2018年7月1日からの1年間でお亡くなりになったニューヨーカーは164,817人でした。

 この数は自然死も病死も事故死も含んだ全死亡者数です。

 12で除すると13,734.75人です。365で除すると451.55人です。これが平時のニューヨーク州の死者数です。

【参考】.United States Census: 2019 National and State Population Estimates, Table5, 2019年12月30日



COVID-19は同等数

 先述の通り3月の最初のCOVID-19関連死亡の確認から1カ月で1万人以上が亡くなられました。

 これ以外にも平時と同じように病気や老衰などで亡くなられる方が居られると思います。

 身の回りで平時の倍のペースで、しかも比較的若い人まで亡くなっていく状況に直面したとき、COVID-19の恐ろしさを実感すると思います。




恐怖心の置き換え

脅威は消せない

 COVID-19は自然終息は考えられなさそうですし、ワクチンや治療薬の開発まで数カ月や数年はかかると予想されます。

 すなわち、ウイルスという感染因子は無くならないですし、COVID-19という病気も簡単には制圧できません。

 この脅威は存在するものとして生活しなければなりません。



リスクを遠ざける

 COVID-19に感染してしまった場合は、医療のお世話になり、また自己治癒能力を信じて闘病するほかありません。

 感染症は何らかの接触がなければ身体にウイルスが侵入しませんので、それを防ぐことが最重要だと考えられます。

 手洗いやうがい、マスク装着、人混みに行かない、色々と気遣うことでリスクを遠ざけられる可能性があります。

 感染したらどうしようという恐怖心を、身を守る機運に置き換えていくことが、結果として感染症を遠ざけて恐怖心を和らげることになるのではないかと思います。



医療従事者の恐怖心

 一般生活の中で、公共の場でマスクをするか否かで議論が起きたりもしていますが、医療機関ではCOVID-19疑いの患者さんを診るのが仕事であり、場合によっては陽性判定が出ている患者さんを診る仕事に当たる事もあります。

 我々の何倍も何十倍も危険な中でお仕事をして頂いており、仮に恐怖心を抱いて仕事をしているとすれば、そのストレスは計り知れないものがあります。

 医療従事者の皆さんに、どうやってストレスをリリースしてもらえるか、今後の課題だと思います。



身の上のハザードは資産に置き換え

 ここでのハザード(危害)は感染症になってしまう事だと思います。

 そして、生命危機に直面し、場合によっては死亡してしまうことも想定されます。

 そうなったときは仕方がないと考えるしかないので、生命保険の見直しを始めました。

 生命保険会社からは葬儀費用がどうとか説明がありましたが、COVID-19で死亡した場合は葬儀も開けないので、そうした費用は他の事に回してもらおうと思います。

 最悪のときは甘受する、周りに必要なものは残す、心残りは無いようにする、こうして恐怖心を分散して和らげながら生活しようと思います。



多方向に分散

 恐怖心はオバケのように実体の無いものに対しても抱く事があるものです。

 大地震のあとには、余震や物音にも怯える人がたくさん現れます。

 私も大型トラックに追突されて大怪我をしたあとは、後方から来る車が恐ろしく感じました。

 この恐怖心は煽ればもっと強まりますが、尖らせる神経の向きを変えることで和らぐのではないかとも考えています。

 COVID-19に対する恐怖心は残して気を引き締めつつ、この状況下で自分に出来る事は何だろう、何かに困っている人は居ないだろうか、もっと深刻になったときに困らないように今できることはないだろうか、色々と考えていくことで気持ちが分散できると思います。



情報保障

 情報が少ない中で、真偽もわからないような情報がたくさん飛び交っていると、デマに踊らされる可能性も否定できません。

 よく『正しく恐れる』と言われますが、そのためには正しい情報、適正量の情報が必要になります。

 例えば院内クラスター。おそらく院内では毎日何十万もの業務プロセスがあり、そのほとんどは適正に行われているのだと思います。
 数十万分の1のエラーがクラスターを起こしてしまったとすれば、それが起こらずに済んでいた時間、あるいは起こしていない他院には毎日数十万の正しい行動があると言えます。

 この適正な方の情報が入ってくれば、医療機関へ行く事も怖くなくなるのではないかと思います。
 看護師は処置毎に手袋は交換しているし手も洗っている。血圧計や聴診器も都度消毒をしている。どこを見ても感染をうつしてしまいそうな仕事はしていないように見えます。おそらく、普通に医療を受ける中では院内感染は起こらないと思います。

 反対に、手を抜いているところがあれば、それを知る必要もあります。
 例えば商業施設で『検温と手指消毒は全員にしてもらってから入場しています』という場所がありますが、ある瞬間は良さそうです。
 しかし、カバンの中までチェックしません。髪の毛や靴まで消毒しません。
 汚染された何かを持込み、それに触れた手で手すりなどを触れば、その手すりは汚染されます。汚染された手すりから次の誰かへとウイルスは渡されていきます。

 手指消毒も必要量を手に取り、正しく消毒をして居なければ手の表面にアルコールが付着して乾燥するだけという事になります。

 こうした情報も知った上で、どこが安全であるかを判断し、逆に危険個所も理解することで恐怖心を抱くべき場所が見えてきます。

 情報は適切に取得し、取得したい情報は適時入手できる、そのような環境に居れば恐れるべき箇所を絞れると思います。




 今回は恐怖についてシミュレーションし、どのように恐怖が迫るのかをニューヨークの事例をもとに考えました。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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