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私たちは冷蔵庫が使えたので、食材の廃棄はありませんでした。
冷蔵庫は開けなければある程度の時間、冷温を維持できますが、平時の庫内が5℃だとして、外気温が30℃超え、あまり長時間の温度維持は期待できません。
私たちは1ドア冷凍庫も持っています。
廃棄するほどの解凍は発生しませんでした。
アイスクリームは変形しましたが、食べられないような状態ではありませんでした。
カップラーメンなどの常温保存品は問題ありませんでした。
地震ではなかったので、食品庫は平時のままでした。
炊飯器が使えなかったので、発災後にパックごはんは調達に出掛けました。
パックごはんはドラッグストアで調達できました。近所は停電で休業していたのでバイクで4km先の同系列店舗で調達しました。日配品や弁当などは入荷が無いようでしたが、レトルト御飯は在庫があってよかったです。
停電との因果関係はわかりませんが、自動製氷機には注意が必要です。
冷蔵庫の自動製氷機能は冷蔵室の給水タンクから製氷室へ水を送り、製氷皿に配水して氷を作り、氷になったら製氷皿を回転させて製氷室へストックする仕組みになっています。
この製氷皿の回転が曲者でした。
冷蔵を中途半端な時間停止させてしまったためか、製氷皿の回転する機構部分に結露が発生し、それが冷凍されて固着、動かなくなりました。
当方の解決策第一弾はドライヤーでした。
製氷皿めがけてドライヤー数分、製氷機洗浄機能を動作させると、動き出しました。一件落着。
しかし数日後、同じ現象が起きました。
おそらく、ドライヤーの熱で結露が発生し、元と同じ状態になったようです。
今度は結露してできた氷を叩き落す作戦に変更。
この方法を実施して1週間以上経ちましたが、エラーは発生していません。
停電すると使えない調理器具は電子レンジ、炊飯器、トースター、ホームベーカリー、ミキサー、ホットプレート、コーヒーメーカー....たくさんあります。
IHヒーターは使えず、少し古いタイプだとガスレンジが点火しないという事もあります。換気扇も回らないので注意が必要です。
ベランダや駐車場など屋外で安全に調理ができそうな場所が確保されていればバーベキューセットで調理ができます。
レンガとダッチオーブンがあれば緩やかな調理ができます。ダッチオーブンの場合は食材に燃料の臭いが移りにくいのでペーパーログや固形燃料が使えます。
カセットガスでたこ焼きパーティやルクルーゼで保温調理もお勧めです。
常温で販売され、そのまま常温で保存しているような食品は発災後もそのまま保存できます。
常温保存の食品には『常温保存』の表示義務がないため、パッケージを見ても何も書いていない可能性があります。
消費者庁:食品表示法等(法令及び一元化情報)
東京都福祉保健局:一般用加工食品(保存方法)
鮮魚や精肉などの生鮮食品、牛乳や納豆などの日配品をはじめ冷蔵保存が必要であり、かつ消費期限が数日〜10日以内の食品はたくさんあります。
消費期限が長くても冷蔵でなければ1日と形状・形態が維持できないようなバターのようなものも冷蔵環境がです。
チルドも冷蔵に分類されます。
日立:冷蔵庫の庫内の温度はどのくらいですか?
日本通運:3温度帯
日本冷蔵倉庫協会:保管温度帯について
マイナス15℃以下で保存されているのが冷凍食品(フローズン)です。
調理用の冷凍食品などはマイナス18℃、アイスクリームはもう少し深くマイナス30℃くらいで保管・輸送されています。
日本アイスクリーム境界:アイスクリームと温度管理
日本アイスクリーム境界:アイスクリームの保管方法
佐川急便:飛脚クール便 品種別管理温度一覧表
当たり前ですが、要冷蔵などと表示された食品を常温で保存して販売してはいけません。
売る側の責任の下では冷蔵・冷凍食品を常温販売することはなく、一度常温になってしまった場合には廃棄しています。
東京都福祉保健局:食品衛生の窓, 一般用加工食品(保存方法)
内閣府 食品安全委員会:常温保存の食品の温度管理について
非常事態において、食べられるか否かの判断を公表する機関は無いと思いますので、自己判断になります。
冷蔵庫と冷凍庫を比べると、冷凍庫の方が冷凍食品同士で温度を調整し合う性質から長持ちすると考えられますので、まずは冷蔵庫の中身を食べましょう。
要冷蔵の食品の中には開封後冷蔵の物と、元々冷蔵の物があるので、ここで大別します。例えばジャムや海苔の佃煮のような瓶詰の大半は常温で販売されていますが、お刺身や精肉は冷蔵やチルドで販売されているので、常温で1日も持たないと思った方が良いでしょう。
とりあえず生鮮品はすぐに食べる、食べられない分は加熱調理してしまいましょう。
肉も魚も湯煎してしまえば、とりあえず賞味期限は多少延長できます。
ビニル袋等に入れて、湯の中に沈めて加熱することで、調理は後回しにできます。
玉子はスーパーの店頭では常温で販売されています。家に帰れば冷蔵庫に片づけますが、常温保存が可能です。
非常時は何かと心配があるので生食は避けて、先述の生鮮品の湯煎で使う湯でゆでたまごを作ってしまうなど、加熱調理した方が良いでしょう。
牛乳を何本もストックしているご家庭も多いと思います。
牛乳は『開封後』は2日以内、ただし10℃以下での保存条件下なので常温では1日と持たないかもしれません。
もったいないとは思いますが、未開封でも2〜3日目の常温保存品は飲用を避けた方が良いでしょう。
明治:冷蔵庫に保存しなかった牛乳は、飲めますか
らくのうマザーズ:よくあるご質問, 大丈夫かな?と思ったら...
毎日牛乳:毎日牛乳(常温保存可能品)
こちらは賞味期限の問題ではなく、分離です。
1日も経てば溶けてしまい脂が分離してきます。
肉も牛乳も消費しなければならないので、ペーパーログを燃料にしてダッチオーブンでグラタンづくりなども良いかもしれません。
非常用に食品を備蓄しているご家庭はどれほどあるでしょうか。
備蓄食として用意されている物は乾パンのような普段はあまり食べない物や、やや単価の高い長期保存用の食事が多いと思います。
あるいはカップ麺を多種多様に、大量にストックされる方も居られると思います。
家庭用の冷蔵庫はほぼ食料品で埋め尽くされています。
1人暮らしだと200リットル未満の機種かもしれませんが、ファミリー向けは400〜600リットルタイプです。どのくらい詰め込んでいますか。
冷蔵庫の中身をフルに活かせば2〜3日はどうにかできるのではないでしょうか。
この食品群は冷蔵あるいは冷凍されている状態でこそ腐らずに食べられ、または本来の目的を為すことができます。
冷凍冷蔵庫は、冷凍・冷蔵できてこそ本領を発揮するので、停電時には特別な配慮が必要です。
冷蔵庫の中は最高のローリングストック(ランニングストック)になり得る食品庫です。
ローリングストックとは、どの瞬間を見ても最低在庫は一定だが、平時に古い物から順に使用して常に在庫を新鮮に保ち、在庫自体を負の資産にしない方法です。
自治体等では精米やガソリン、医薬品などが地元企業と協定を結びローリングストック化されています。
例えば、ハムやチーズを『最低在庫10枚』と決めて、残り10枚になったら買い足していけば、非常事態にも必ず10枚は在庫されることになります。
内閣府:1週間を想定した工夫と備え
イオン:毎日の食事が非常食に!ローリングストック
日本の家庭には精米(白米)が置いてあるのが一般的です。
生米は、そのままでは食べづらいです。
普段は炊飯器で炊いて食べるのが一般的ではないでしょうか。
停電時に炊飯器は使えないので、主食は別に探すか、諦めるしかありません。
ただし、今回の台風ではガスは正常でしたのでガスコンロでルクルーゼ炊飯ができました。
ルクルーゼ(LE CREUSET):白米の炊き方
大阪ガス:火で炊く コンロでごはん生活
大阪ガス:ガス火クッキング レシピ一覧
大阪ガス:いろんな鍋でおいしくご飯が炊ける!「火で炊く コンロでごはん生活」のサイトを開設しました
リンナイ:ガスコンロでご飯が炊けるんです!
家庭用冷蔵庫にバッテリを積んでいるという機種はぼぼありません。
すなわち、停電と同時に冷蔵庫はダウンします。
家電店に置いてある状態は最初から電源が入っていないので室温ですが、停電時まで使っていた冷蔵庫は冷えています。
この冷たさを逃さない手段が必要です。
冷蔵庫の庫内温度はどのくらい上昇するでしょうか。
気温、機種、内容物など結果を変動させる要素はたくさんありますが、1つ言えるのは『開けば温度上昇』することです。
屁理屈を言えば開けなければ良いのですが、食品を取り出すためには開けなければなりません。
下図はNES株式会社が2019年に公表した資料ですが、これによると冷凍庫は氷点下から零度までは6時間ほど、そこから零度を2日ほど保てることが読み取れます。
一方で冷蔵庫は停電直後は温度を維持しますが、数時間後から直線的に室温に近づいていくことがわかります。
下図は北九州市役所のホームページに掲載されている冷凍庫・冷蔵庫の温度変化です。
北九州市:停電状態の冷蔵冷凍庫内の温度変化について, 計画停電における食品等の温度管理について
東京サラヤ:冷凍庫・冷蔵庫の停電時における影響調査
エヌケイエス:低温フリーザーが停電した時の庫内温度の変化を測定しました
シャープ:停電モード付プラズマクラスター冷蔵庫
シャープ:蓄電池連携停電モード付プラズマクラスター冷蔵庫
冷凍庫と冷蔵庫を比較すると、冷凍庫の方が保冷性が高いです。
これは冷凍された物が全体的に温度が均一であり、また精肉などもある程度の塊になっているため溶けにくい特徴があります。
冷凍庫の中身が互いに冷やし合う保冷剤の役目を果たし、密閉性の高い冷凍庫の中で低温を維持し続けます。
冷凍庫の中が隙間なく詰め込まれている場合、溶けてしまうまでには相当な時間がかかりますので食品が傷んでしまうリスクは低くなります。
仮に温度が上昇したとしてもマイナス18℃が0℃を超えるまでには相当な時間がかかり、さらに5℃くらいまで上がっても食べられなくなるのはアイスクリームなど一部の食品に限られます。
『開けない』選択肢も、冷凍庫にはあります。
冷蔵庫は比較的早く温度上昇します。
とはいえ、冷凍庫と同様に食品自体が冷えているので最初の1時間は1〜2℃程度の上昇に抑えられると思います。普段、冷蔵庫の扉を開いて出し入れすれば変化してしまう程度の温度ですので食品保存には問題ないでしょう。
問題はその後です。経時的に温度上昇が始まり1日も経てば室温に近づいてしまいます。庫内が理想的で1時間に0.5℃の上昇でも24時間で12℃上昇です。
平時が5℃設定の冷蔵室であったとすれば、そこにマイナス18℃の保冷剤を入れれば温度が下がります。
停電後、庫内で温度を奪われる対象を保冷剤に集中させることで、庫内温度上昇を抑制することができます。
冷蔵庫の温度上昇が迫る冷蔵庫は保冷剤で温度上昇を回避します。
保冷材は専用の物を用意することが理想ですが、ケーキを買ったときに付けて貰える物を残しておくのも手段の1つです。
凍っている保冷剤が売っている訳ではないので、事前に凍らせておく必要があります。
また、凍らせた保冷剤は冷凍庫から出さなければなりません。
先述のとおり、冷凍庫を開けなければ保冷効果が高いといった話題と矛盾し、冷凍庫の温度上昇を招く行為をするので、保管場所をしっかり思い出して最短時間で作業しましょう。
保冷剤が手元に無いときはどうしましょうか。代替手段は残されています。
凍らせておいた精肉や炊飯済の御飯など、ある程度の塊になっている冷凍物は解凍にも時間を要します。凍らせたペットボトルも半日くらい持ちます。
これを冷蔵庫に移しておきます。
解凍される過程で表面は汗をかき、肉類はドリップが出ますのでお皿の上に置くなどの配慮があると良いでしょう。
熱の放射を高めたい場合はアルミホイルを敷いた上に冷凍物を置くと、放射性の高い表面積を稼ぐことができます。
冷蔵室の容積は100リットル以上あります。450リットルの冷蔵庫でれば冷蔵室が250リットル、野菜室が100リットル、冷凍室が100リットルくらいの容量になっています。
容積が大きくなれば表面積(壁面積)が増え、食品の無い無駄なスペースも増えますが、それらを冷やす能力を失った冷蔵庫は、逆に熱放出リスクを持っています。
アウトドアや釣りなどでは一般的なクーラーボックスは、肩掛けして持ち歩けるサイスが25リットル程度で、35リットルサイズは2人がかりで運ぶイメージのサイズです。
電気を使わない保冷に配慮したつくりのクーラーボックスに食品を移しましょう。
クーラーボックスは氷や冷水を直接入れて冷やす『どぶづけ』ができます。
夜店でジュースを売るときに使われる方法です。
冷水であれば熱を伝える冷媒の密度が高いので、庫内の温度が均一になりますが、物を取り出す際に手を入れると熱を奪われます。
状況によってどぶづけ(湿式)か保冷剤(乾式)かを検討しましょう。
クーラーボックス内がフルに詰め込まれることは少ないと思いますので、食品の上に保温シートを掛けておくと保冷性が高まります。また、クーラーボックス自体を保温剤で巻くという方法もあります。1℃でも、大切にしましょう。
クーラーボックスが無い場合、野菜室へ食品を集中させましょう。
野菜室は容積が冷蔵室の半分以下、100リットル程なので放熱リスクは低くなります。
扉式の冷蔵室に比べ引出式の野菜室は開口面積を小さくでき、また低いところへ集まる冷気のロスが少ないです。
段取りとしては緊急性の無い野菜を庫外に出してスペース確保、食べはしないが保冷剤代わりになりそうなペットボトルなどを下に敷き詰め、守りたい食品や近々調理するであろう食品を取り出しやすい上の方に置く、という流れが考えられます。
食材は何がありますか。調理しないと腐りそうな物は何ですか。
電子レンジが使えないので、幕の内弁当のおかずなどを思い浮かべましょう。冷めても美味しく、汁がたれる物も少なく、日持ちもしそうです。
ウインナーは調理しない方が日持ちします。
精肉や魚介類は火を通してしまった方が日持ちします。
カレーなど鍋を使う料理はガスや炭火で温め直しができますが、冷蔵保存できないことにも配慮が必要です。3日目のカレーは危険でしょう。
バーベキューセットがあれば、最初はBBQで肉屋野菜を焼き、残った炭で別な料理を考えることもできます。
重要なのは『冷蔵保存できない』ことと『電子レンジが使えない』ことです。
冷蔵庫は大開口です。一度開ければ貴重な冷気が逃げ出ます。
献立で計画したものを作るべく、多少はアレンジ料理になっても良いように余分に食材を取り出したとしても2回目の開閉は避けます。
忘れがちなのが調味料です。
醤油や味醂は冷蔵庫にありませんか。ドレッシングは出しましたか。
冷凍や冷蔵を断念し室温になってしまっても仕方ない、何とか食べられるであろ食材とは何でしょうか。平時からシミュレーションしてみませんか。
商品に『開封後は冷蔵』と書かれているものや、後で食べようと冷凍した物が室温に耐えられそうです。
調味料の大半が室温でもすぐには変性しません。
飲料も乳製品以外は室温でも数日は何とかなるでしょう。常温で売られているゼリーは大丈夫ですがプリンやヨーグルトは配慮が必要です。
鶏卵は殻に入っていれば数日は大丈夫です。店頭では室温です。
ハム、ウインナー、チーズ、ジャム、このあたりも出せそうです。
野菜は鮮度こそ落ちてしまいますが、2〜3日から1週間は室温でも耐えられる物が多いです。
優先順位からも検討します。肉300gときゅうり3本、どちらかを選ばなければならないとすれば、室温のきゅうりで作ったサラダは食べられても、腐った肉は食べられないであろう、などと想像します。
室温は推奨されないが、1日くらいは何とかなりそうな物を選抜します。
マヨネーズは多少分離するが良いとしましょう。
プリンやヨーグルトは数時間以内に食べてしまいましょう。
ちくわや豆腐、納豆もパックを開けていなければ1日くらいは行けそうでしょうか。このあたりから判断が分かれそうです。
もし上記の食材があったとすれば、これだけで1食〜2食は空腹を満たせそうです。
バターやマーガリンは室温で置いていたら分離して元の形体を失います。
アイスクリームも同様に元の形体を失います。
ケーキなど生クリームも形が変わり、味も変わります。
※.当サイトで紹介する情報は災害時の安全を約束するものではありません。参考情報としてご覧ください。